CDジャーナル「今月の注目盤」MRCP-1001 Total Time 63:11
メトネルは今年で没後50年になるロシアの作曲家で、近年特に注目されております。近代の作曲家としては異色の作品を多数残しており、まるでシューマンやショパンを思わせるようなロマンティシズムに溢れております。しかし演奏技術は大変高度なものが要求され、その鮮烈な技巧は劇的な効果をもたらします。このCDではメトネルの代表作といえるソナタ3曲を収録しており、これは日本人ピアニストによる初録音となります。
特に表題曲「ソナタ=バラード」は冒頭から美しい旋律に彩られており、技巧的にも華やかで、クラシックに初めて触れられるリスナーはもちろん専門家の方々にもきっとご満足いただけることでしょう。またバラキレフ作曲の小品3曲も収録しておりますが、これらは単に親しみやすいだけでなく、ピアニストの技と力、そして音楽の深さを必ずやお伝えすることができるものと確信いたしております。
このCDではライナーノーツの執筆を評論家で日本大学芸術学部講師の高久暁氏(音楽学)にお願いいたしました。お忙しい中を試聴していただき、演奏に関してのコメントもお書きいただきました。
「代表作といえるソナタが3曲も〜日本人ピアニストとしては初めての快挙である……否!「日本人ピアニスト」などという限定はくだらなくてつまらない。このディスクは世界レベルで大いに評価されるべきだ。」「ソナタが3曲以上入ったディスクとなると、その数は激減してしまう。筆者は恐らくそのほとんどを聞いている。そのうえで断言したい。川上のメトネル解釈と演奏は、すでに従来のメトネル演奏家たちのほとんどを凌いでいると。」「特筆すべきなのはソナタ=バラードだろう。川上の演奏は爽やかな推進力で貫かれ、独自のアプローチに成功している。<春>や<朝の歌>のくつろいだ表現も共感を呼ぶにちがいない。」(ライナーノートから抜粋)
また収録作品についての解説は、メトネルやバラキレフの資料としても価値あるものとなっております。アナリーゼはもちろんの事、モチーフにまつわる逸話など、演奏する上で必ず知らなければならない事が多く書かれており、これからメトネル作品の演奏に取り組まれるピアニストや音大生の方々にもお勧めです。
録音はバランスや音場を忠実に再現するべく、厳密に2本のマイクロフォンのみを使用する「ワンポイント・ステレオ」方式を採用、システム全体を可能な限り単純化し、エンジニアの主観によるバランス変更などの色付けは極力排除いたしました。これを24bitデジタルへ変換し、録音からマスタリングに至るまで高解像度を保持しております。このためオーディオファイルにも興味深くお聴きいただけることと存じます。
東京音楽大学を首席で卒業後、ウィーン市立音楽院へ留学。92年にはマリア・カナルス国際コンクールで入賞。最近では「レッスンの友(」「ショパン(2月号)」等の専門各誌上で演奏法の執筆やインタビューなどで登場する機会も増えている。現在、東京音楽大学ピアノ科で後進の指導にもあたっており、指導者としても非常に高く評価されている。また、リサイタルを2001年2月20日に旭川(大雪クリスタルホール音楽堂)、2月22日札幌(札幌コンサートホールKitara小)、3月15日に東京(紀尾井ホール)にて開催。9月に開催するリサイタル(トッパンホール)は全てメトネルの作品によるプログラムを予定している。
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